2004-01-01から1年間の記事一覧

VOODOO / D’Angelo (’00)

名盤であることは断言する。ただ、万人に薦められるものでもない。メロディやコードは充分ポップで美しいのに、なぜここまで黒く重いのか。その原因の一つとして、ヴォーカルライン構成のルーズさがある。巷のヒット曲のように、即座に覚えて一緒に歌えるよ…

CHOSEN FEW IN MIAMI / Chosen Few (’75)

レゲエとソウルはほぼ血縁関係にあるとはいえ、ここまでソウルに接近したレゲエグループは稀だ。ほとんどノンレゲエの典型的な70sソウルマナー、スウィートなコーラス。サウンドにはレゲエの色も程よく残る。バックはKC&サンシャインバンドだが、実に絶妙。…

PEACE WITH EVERY STEP / Build an Ark (’04)

ポピュラー音楽は時代とともに歩んでいる。ある程度確立してしまったジャンルはその時代独特のものとなる。時代性という観点からすれば、その先にあるのは懐古と資料価値のみ。本盤のディテールは確かにスピリチュアル・ジャズのそれである。しかし、70年代…

PRESS ON / David T.Walker (’73)

デビッドTが10年ぶりに新作を制作するとのこと。期待せずにいられない。本盤は今まで彼が発表したソロの中でも一、ニを争う出来。カバー中心で独特のメロウでスモーキーな雰囲気に包まれている。この雰囲気は唯一無二と言ってしまっていいのではないか。そし…

WHY CAN’T WE LIVE TOGETHER / Timmy Thomas (’74)

これはソウルであり、前衛であり、ファンクでもある。オルガンとリズムボックスのみという構成から前衛であることに異論はないだろう。問題はファンクか否か。確かに一般的なファンクのフォーマットからは大きく外れている。しかし、自分にとってのファンク…

S.T. / Victor Davies (’01)

ロンドン出身らしい洗練されたクロスオーヴァー・ミュージック。ブラジル音楽のサウダーヂ感とソウルのメロウネスを見事にモノにしている。言うなればジョン・ルシアン+マクスウェル。ブラジリアン・メロウグルーヴが好きなら、これは聴かねばならない。[me…

PEACEFUL / Al Johnson (’78)

レコ屋の壁の花だった超名盤がようやくリイシュー。テリー・ハフとの関係は今更ここで書くまでもないだろう。ワシントンD.C.らしい行き過ぎないスウィートネス。なぜかニューオリンズ絡みの制作陣が気になるが、音にはあまり影響がないようだ。バーナード・…

S.T. / CoCo d’Or (’04)

驚いた。hiroである。元SPEEDの。意外なことにかなり良い。全編英詞のジャズカバーアルバムということもすんなり聞けた理由ではあるが、客観的に見て質が高いのだ。歌そのものは表現力の点で不満が残る。しかし、そのキュートな声質は驚くほど新鮮。日本のク…

EXTRAORDINARY PEOPLE / Harmonic33 (’02)

手法はブレイクビーツだが感触は60年代のラウンジ。インストでもこれだけ聞かせられるのは構成の巧みさとアレンジの妙。ベースを控えめにし、ウワモノに凝ったことが功を奏したか。切ない雰囲気を無理なく表現できている。ステレオラブなどが好きな人にもオ…

VOYAGE TO FUNKTASIA / Soulogic (’04)

日本のファンクというと、フュージョンの延長でP-FUNKのソレやアースのアレを露骨にパクったツマランのがほとんど。ただ表面を撫でただけの似非黒人音楽。しかしこれは違った。きっちり消化(昇華)した結果が見える。ユニークなギターと安定したプロダクシ…

COME WITH ME / Tania Maria (’83)

モノの本には「実はしっとりした叙情性にタニアの真価が…」なんて書いてある。それも否定しないが、やはり圧巻の激走サンバこそが本盤の醍醐味。スラップの効いたファンキーなベースとパーカシッブなピアノがどうしようもない高揚感を与えてくれる。しかしそ…

PADLOCK(SPECIAL MIXIES BY LARRY LEVAN) / Gwen Guthrie (’83)

ハウスとレゲエ(ダブ)のミッシングリンクを埋める重要作品。ダブはミキシングの手法でハウスに多大な影響を及ぼしているのだが、そのことを説得力をもって実感できる。クラブで大音量で聞かない限りラリー・レヴァンの技術や感性については何も言えないが…

FRANKIE MILLER’S HIGH LIFE / Frankie Miller (’74)

スコットランド出身のシンガー、いわゆるニューオリンズ詣での産物。もちろん制作はアラン・トゥーサン。黒人にはなれない白人の悲哀が微妙に漂う一方、良い意味で開き直ってるように感じる部分も。ロッド・スチュアートにも似た塩辛いノドの持ち主で、彼よ…

ALL THAT I AM / Joe (’97)

スウィート中心の曲もまずまず、歌も結構上手い。これで総括すると「普通にイイ」ってことになってしまう。この評価はアーティストにとって最大級の侮辱だ。しかし、本盤は普通では終わらない。曲も歌も「最高」とまではいかないが、なぜか深く引き込まれて…

MARY / Mary J. Blige (’99)

市場に出回りすぎた(売れすぎた)アルバムは価値を落とす。しかし、内容の評価までそれに引きずられてしまうのは悲しいこと。本盤も確かにメジャー志向であり、明らかに横綱相撲。しかし、それを低評価に繋げるのは間違っている。70年代へのオマージュが随…

S.T. / Lucy Pearl (’00)

トニーズのラファエル・サディーク、アン・ヴォーグのドーン・ロビンソン、ATCQのアリ・シャヒードが一同に会した夢のユニット。ラファエルの存在感が強すぎるため、ユニットとしてのバランスは今ひとつ。欲を言えばアリにもう少しがんばって欲しかったとこ…

S.T. / Organized Konfusion (’91)

サンプリング・ミュージックにおいては「解体と再構築」という言葉が濫用される傾向にある。実際のところ本当にそれに成功している例は決して多くないが、本盤の巧みな構築センスとソースへの深い理解は並じゃない。ヒップホップでありながら見事なジャズフ…

COKE / Coke Escovedo (’75)

一昔前のフリーソウル界隈で人気を博したアルバム。ラモン・ドジャーの"Why Can't We Be Lovers"、リオン・ウェアの"If I Ever Lose This Heaven"がカバーされてるというだけで無条件に買い。ほのかなラテンテイストもいいセンス。しかし何より素晴らしいの…

HAPPY PEOPLE/U SAVED ME / R. Kelly (’04)

性格の異なる2枚をコンパイル。まずは躍動感溢れる1枚目。70sソウルファンの身には、不自然なくらいスムーズに浸透していくサウンド。90年代以降のR&Bが失いつつあった開放感で満ちている。一方でゴスペル・サイドの2枚目は一聴すると単調だが、実はこちらの…

DENIALS DELUSIONS AND DECISIONS / Jaguar Wright (’02)

フィリー出身、もとはラッパーでザ・ルーツのアルバムに参加した経歴も。シャープな声質に、曇ったメロウネスが覆い被さる。?estloveやBilalなどが参加していることからもサウンドの想像はつくだろう。粒揃いの楽曲群はクラシックソウルファンにも充分アピー…

AFTER HOURS / Rahsaan Patterson (’04)

ラサーン・パターソン待望の3作目。ディアンジェロ以降よく見られるようになったモタったグルーヴが沁みる。R&Bだけではなく、ガラージ系の曲などを混ぜ込むことで泥臭さが緩和されている。それにしても、これだけの曲を書く人が自分と同年代という事実にヘ…

EYES NEVER LIE / Dwayne Wiggins (’00)

Tony Toni Toneのギタリスト、1stソロ。サウンドこそ現代的だが、どこか懐かしい。いい意味での古臭さや親しみやすさがオールドソウルの血脈を感じさせるのだ。ラファエル・サディークの陰に隠れがちだったドゥウェインの才能を再認識できる。名盤。[r&B]

CURVATIA / Spacek (’01)

マッシブ・アタックあたりを連想させるほの暗さが心地良い。R&Bのフォーマットを踏襲しながらも、そこに留まらない実験的な音作り。サンプリングによる効果的なギミック。ストレンジでありながら、これら全てを有機的に機能させるセンスの良さ。これぞオルタ…

EXILE ON MAIN STREET / Rolling Stones (’72)

たまにはロックでも。最初の一音で様々なイメージが喚起される。好きなアルバムだから当然だが、それでも聴いてる人間の気分をコントロールできる音楽ってのは偉大だ。黒人音楽からの影響は後期ほどあからさまに表れていないが確実に存在はしている。そのこ…

SONGS IN A MINOR / Alicia Keys (’01)

デビュー作にして既にスタイルを確立。SSW的たたずまいながら、内にこもらず広がりのあるポジティブな音世界を展開する。このあたりのバランスが全く非凡である。クラシカルなピアノも完全に血肉となっているようで、他とは一線を画す一つの要素となっている…

THE THIRD UNHEARD: CONNECTICUT HIP HOP 1979-1983

ヒップホップ黎明期の音源を集めたコンピ。ヒップホップとは黒人音楽におけるパンクだと勝手に思っているのだが、本盤はその仮定を裏付けるのに充分な説得力を持っている。粗暴で猥雑、アンダーグラウンド然としてエネルギーに満ちた空気感。方法論もさるこ…

1ST BORN SECOND / Bilal (’01)

難解と言われることもあるようだが、確かに妙な雰囲気を持っており、一筋縄では済ませないという気概も垣間見える。しかし取って付けたような奇抜さではない。あくまでその雰囲気は内面から滲み出すものだ。ルーツミュージックの消化の仕方も見事。多彩な声…

BRAINCHILD / Society of Soul (’96)

プロデュース・ユニット、オーガナイズド・ノイズのプロジェクト。ヘビィで芯のあるサウンド。無駄がなく効果的なアレンジと構成。そしてクラシック・ソウルへの愛情と憧憬が存分に表現された楽曲。流石の一言だ。これまで多くのヒットを生んできた彼らだけ…

MIDNIGHT MARAUDERS / A Tribe Called Quest (’93)

他の追随を許さない完成度。サンプル再構築の教本。全く文句の付け所がない。サンプリング主体のヒップホップというと、お手軽なループの上にラップを乗せるスタイルがイメージされる。もちろん、それはヒップホップの文化的視点から言っても正当なものでは…

SHADES / Vanessa Freeman (’04)

Kyoto Jazz Massiveや4Hero、Nathan Hainesなんかにフィーチュアリング・ヴォーカリストとして重用されている。このラインナップからも想像できるが、いわゆるUKクラブ直系のR&B。黒すぎず、適度にオシャレ。彼女の器用さが垣間見える。数曲あるダウンテンポ…