2004-01-01から1年間の記事一覧

WILD SEED - WILD FLOWER / Dionne Farris (’94)

元アレステッド・ディベロップメント。R&Bとロックが高次元で融合された稀な作品。通常「黒い」と言われる音楽特有の粘り気はレゲエに由来するものと思っているが、ここではそれはほとんど無く、代わりに導入されたロックの要素が大幅に湿度を下げている。派…

S.T. / Nodesha (’03)

歌もラップも雰囲気の出し方も相当うまい。しかし、それよりも制作のJAM&LEWISである。彼らの才能には全く圧倒されるばかり。打ち込み主体なのに、なぜこんなに生々しいのだろう。ダサくなる一歩手前で逆に洒脱に転化させる術は、まさしくマジック。これがセ…

自分の不勉強を棚に上げるようで申し訳ないが、HIPHOPのバックトラックというのは、ループするだけが能じゃないんだなと開眼させられた一枚。非常に手の込んだプロダクションで仮にインストだったとしても全く飽きが来ないだろう。特に音の質感に関して素晴…

ONE IN A MILLION / Aaliyah (’96)

ティンバランドが、例の「チキチキ」系ビートでブレイクするきっかけとなった作品。当時はかなり革新的だったらしいが、8年も経ってから聴いたせいか、個人的にそれほどの衝撃は受けなかった。だからと言って悪いと言うことではない。逆にやたら良いのだ。ア…

SURRENDER TO LOVE / Kindred the Family Soul (’03)

自分にとってフィリーといえば70年代のPIRに他ならないが、最近のR&Bシーンではネオ・フィリーなんて区分けがあるらしく、これはその最右翼だとか。それはともかく、非常に黒く濃い、良質な一枚。夫婦デュオならではの息の合ったヴォーカルも見事。キャッチ…

DESTINY / Felix Cavaliere (’75)

言わずと知れた元ラスカルズ。ソロ2作目。トッド・ラングレン制作の前作よりも派手さを控えた分、持ち前の黒い感覚が浮き彫りになっている。ブルー・アイド・ソウルという呼び名の是非はともかく、ソウルフルであることは間違いない。その上でアメリカン・ル…

BROWN SUGAR / Vivian Reed (’76)

その知名度と同様、ずば抜けたアルバムではないものの、全曲飽きずに楽しめる堅実な70sレディ・ソウル。本業は女優とのことで、なかなかの表現力。勇ましく太い声は思った以上にソウルフル。ヒューゴ&ルイージの制作のため、良くも悪くも聴きやすさは保証さ…

WHAT COLOR IS LOVE / Terry Callier (’73)

なんて素晴らしいタイトル!視覚的で想像を掻き立て、そして何よりスタイリッシュ。彼の音楽性はフォーク、ソウル、ジャズの融合などと言われるが、まさにそのとおりで、当時にしてみれば相当異端だったことだろう。スピリチュアルでアンニュイでクール。ジ…

NYCNYUSA / Fatback Band (’77)

細かいパッセージのベースラインが実に心地いい。もともとポップセンスのある人たちだが、ここではゴリゴリのファンクから一皮剥けて、若干のメロウネスが加わっている。濃すぎないところがお気に入り。ポップファンクとしての完成度という点で、このアルバ…

S.T. / Floaters (’77)

長尺スウィート"Float On"が有名なコーラスグループ。基本線は大甘なのだが、デトロイトという土地柄もあり、フィリーより若干固めのサウンドが楽しめる。また、ギターとアレンジで参加のデニス・コフィのソリッドな感覚も、あわせて良い方向に作用している…

THE REAL THING / Dizzy Gillespie (’70)

ベースのフィル・アップチャーチが恐ろしく黒いグルーヴを紡いでいる。しかし、全体を見ればそれほど泥臭くはなく、テイストはむしろジャズファンクに近い。この人が吹けばフリーキーなトーンもポップに聞こえるから不思議。ヘッドミュージックとしてのジャ…

S.T. / Jorge Santana (’78)

なんともエッチなジャケである。自分が所有しているレコの中でも一、二を争うエッチジャケ。あくまで「エロ」ではなく「エッチ」なのがポイント。肝心の音のほうだが、MALOで見せたロック的な激しさとは対照的に肩の力が抜け、ポップでディスコ寄りの作り。…

COME INTO KNOWLEDGE / Ramp (’77)

制作はロイ・エアーズ。ATCQのネタ使いで有名なメロウグルーヴ"DAYLIGHT"が出色だが、この一曲で終わるアルバムではない。ジャジーで良く練られたアレンジはさすがロイ・エアーズならでは。それでいて彼のソロ作品と同様、グルーヴィーで分かりやすい。つま…

bxm

音質こもり気味、構成バラバラ、ふんだんなSE、ヤケクソすれすれの勢い!もう最高。いかにもブラックスプロイテーションらしいB級で胡散臭い雰囲気が充満している。なお、勧善懲悪ならぬ勧黒懲白がブラック・ムービーのセオリーだが、この映画は悪役のゲシュ…

LOVING IS LIVING / McCrarys (’78)

のっけから客演のスティービー・ワンダーのハーモニカが冴え渡る。それほど有名ではないグループだが、演奏陣は大変豪華。このアルバムの最大の聴き所はズバリそこにある。デヴィッド・フォスター、チャック・レイニー、ジェイムス・ギャドソン、ジェイムス…

Message / Grandmaster Flash & The Furious Five(’82)

ヒップホップは門外漢だが、これは楽しめる。ファンクの視点から見ても充分グルーヴィーで刺激に満ちている。ライミングと言うのはソウルで見られる「語り」「ガヤ」「煽り」を拡大解釈したものなんだろうか、なんてことを考えてしまった。本当のところは知…

S.T. / Brenda Russell (’78)

数少ない黒人SSW。AORファンには比較的知られた存在だろう。ブラック特有のしなやかさと、SSWらしい繊細さ。黒さと言う点では若干薄めだが、キャロル・キングあたりのミックス具合が好きなら問題なし。曲の良さだけで充分聞かせる。メランコリックな曲調なが…

S.T. / Laso (’77)

最初の一小節で当たりを確信した。ラテン・ディスコと言えばいいのだろうか。ファンキーに跳ねるドラムとうねるベースの上でサルサ周辺のラテンテイストが踊る。ん?それってサルソウルでは?鋭い。実はコレ、ジョー・バターンの制作。サルソウル諸作よりも…

MY EBONY PRINCESS / Jimmy Briscoe & Little Beavers (’75)

年のころは中学生くらいだろうか。そんな微妙な年頃の男子が、背伸びをしてベタベタのスウィートソウルを歌う。この何ともいえないムズ痒さというか、微笑ましさというか、それこそがこの盤の最大の魅力。バブルガムな溌剌ソウルも聴き所のひとつで、スウィ…

bxm

バリー・ホワイトの残したサントラ。演奏はもちろんLove Unlimited Orchestra。メロウな曲においては約束された安心感がある。また、普段はあまり聞けない、クールで緊張感のある楽曲も楽しめる。ストリングスなどの使い方が割とクラシカルで欧州のサントラ…

S.T. / Love Unlimited (’72)

名盤中の名盤と言っていいだろう。擬音ソウルの傑作、「恋の雨音」こと"Walkin' In The Rain With The One I Love"が最大の目玉。押し殺しつつも、徐々に花開いていくかのごとき絶妙な雰囲気。72年ということでメロウソウルの先駆的存在だが、この頃にしては…

LET ME SHOW YOU / Esther Williams (’76)

ブレイクネタとしても有名なダンスクラシック "Last Night Changed It All"を収録。この曲を筆頭として全て名曲。アッパーなディスコとファンクが中心で、その全てがハイクオリティ。曲もグルーヴも雰囲気も最高。これはヤバイ。大名盤。フリーソウル好き、…

S.T. / Max-B (’73)

詳細不明、スペイン発、ヘヴィなアフロファンク。いかにもレアグルーヴなキーワード満載だが、果たしてその内容も想像通り。どの曲もベースラインが印象的で腰に来る。太鼓も豊富でトライバル・ファンク好きにはたまらないだろう。とにかくグイグイとアッパ…

jb

50年代から活躍するポピュラー歌手。本作ではジョニー・ブリストルが制作を担当し、彼のカバーも3曲収録している。全体的にメロウでドリーミーな仕上がりで、マティスの歌の上手さを存分に引き出している。白眉はおなじみ"Feel like makin' love"。無難なア…

RHAPSODY IN WHITE / Love Unlimited Orchestra (’74)

通常、ポップミュージックにはメインとして聴かせるべきメロディが存在し、ヴォーカルがその役割を担う。逆に言うとバック演奏やアレンジとは、その主旋律を引き立たせる存在であるべきなのだ。さて、本盤はインスト。歌は無い。しかし、バリー・ホワイトは…

YOUR FUNNY MOODS / Skip Mahoaney & The Casuals (’74)

官能的なファルセットと迫力のバリトン、これを一人で使い分ける人は、このスキップ・マホーニーしか知らない。スローな曲調だけを見れば大甘のベトベトになりそうだが、シャウト系のヴォーカルを織り交ぜることで、かえってソリッドな印象さえ受ける。擬音…

A NIGHT TO REMEMBER / Eddie Holman (’77)

フィリーが生んだスウィートソウルの名作。サルソウル発ということで、B=H=Yによるいつもながらの最高の演奏とエディのファルセットが有機的に絡み合う。フィリーファンにとっては良い意味で安心感のあるサウンドだ。なお、トム・モウルトンがテープ編集した…

S.T. / Positive Force (’80)

1980年の黒人音楽には面白いものが多い。70年代のクラシック感やディスコの微妙なダサさを引きずる、ライトでキャッチーなサウンドが意外に好き。本作は明るめなパーティっぽい雰囲気。曲の良さと腰にくるグルーヴでガラージ名盤としても知られる。どこかの…

S.T. / Lemuria (’79)

近年再評価が著しい'70sハワイアン・フュージョン/AOR。その素晴らしさは今更ここで語るまでも無いだろう。この盤ももはや定番。"Hunk of Heaven"のキラーっぷりと言ったら!ファンクやラテン、ジャズの要素、洗練されたアレンジ、伸びやかな女声、確かな演…

jb

76年の"SILK DEGREES"ほど洗練されてはいない。とはいえ、ジョニー・ブリストルの制作で悪いはずもない。むしろ黒さではこちらに軍配が上がる。ボズのいなたい声は、芳醇なストリングスをフィーチュアしたソウルフルなサウンドと良く合っている。どこかカン…