2003-01-01から1年間の記事一覧

NEVER TOO MUCH / Luther Vandross (’81)

なんと言っても名曲中の名曲"Never too much"に尽きるだろう。70年代初頭からセッション・ヴォーカリストとして活動してきただけあって、その実力は圧倒的。恐ろしいほどのリズム感だ。今となっては古臭いN.Y.アーバンサウンドだが、このアルバムはこのサウ…

SINCE I LEFT YOU / The Avalanches (’01)

ロックもブラックもラウンジも全て飲み込んでいる。それはサンプリング・コラージュという手法の特性でもあるのだが、これだけ大量の音を詰め込んでなお、ポップさを失わず、有機的音楽として聞かせられるセンスは驚嘆に値する。これはもう、素直に負けを認…

TIME MOVES ON / Strutt (’75)

このブランズウィックの再発シリーズは、ほとんどハズシがない。本作も例に漏れず、レア盤ながら内容は折り紙つき。特にファンクの出来はスゴイものがある。レーベルがもっとプロモーションしていればKool & the Gangなみになっていてもおかしくない。(言い…

TIME / Ricardo Marrero and the Group (’77)

数年前に"Feel like making love"につられ、フリーソウル系の爽やかさを期待して買ったものの、意外にラテンのアクが強くてパス。しかし、ラテンに馴染んできた今こそ再聴のチャンス。そして、耳に飛び込んできたのは、ジャジーでグルーヴィーなクロスオーヴ…

SUPER FREAK / Pucho & His Latin Soul Brothers (’72)

ラテン・ジャズファンクの有名盤。スーパーフライ・メドレーが注目点には違いないが、カーティスのそれをイメージしすぎるのは禁物。ラフな演奏のため肩透かしを食らうかも。それよりも、むしろ中盤以降のラテンジャズのほうが個人的には断然オススメだ。熱…

THE OTHER ROAD / Ray Barretto (’73)

特筆すべきはローズ。ふんだんに使われており、好きモノにはたまらないだろう。比較的アクの弱いラテンジャズなのでジャズファンクが好きならすんなり聴けるはず。とはいっても、やはり真価はサルサのスパイスがピリッと効いた曲にある。レイ・バレットのパ…

HITTING HARD / Francisco Aguabella (’77)

サルソウルならぬソウルフル・サルサとでも形容すべきか。艶かしいファルセットに熱いサルサ。ツボをビシビシ突く絶妙のクロスオーヴァー加減だ。嵐のようなパーカッションがフィーチュアされたエドゥ・ロボ作"Casa Fuerute" もすごい。血が逆流する。僕がラ…

BLACK SOUND FROM WHITE PEOPLE / Augusto Martelli (’72)

イタリアン・ジャズグルーヴ。黒人音楽を意識したファンキーなサウンドながら、どこか胡散臭い雰囲気が60年代の匂いを漂わせる。1曲目"Loco Love Motor"は必聴。ループ的手法や、ラテンやブラジルの要素を盛り込んだサウンドは実に現代的。[jazzfunk]

I LOVE YOU MORE & MORE / Tom Brock (’74)

グロリア・スコットの"'What Am I Gonna Do?"にも名を連ねるバリー・ホワイト人脈のシンガー兼プロデューサー。本作はバリーのプロデュースで、ダンサーもスロウもかなりの出来。曲はバリーとの共作がほとんどだが、一部のメロディラインにトム・ベルの影響…

LOVE’S DRIPPIN’ / Leon Ware (’03)

往年の大物の新作ってのは、初恋の人に同窓会で再会するかのごとく、聴きたいような聴きたくないような。しかし、甘い思い出が崩れるどころか、忘れていた想いが再燃してしまった。打ち込みのサウンドがチープに聞こえる部分は若干あるが、最高のメロディセ…

S.T. / Eva (’74)

素性も何も知らないブラジリアン。アンニュイな視線とソウルフルな風貌にやられてジャケ買い。トロピカリスモ以降のMPBにソウル感覚を加味したような音。"Moon River"がグルーヴィーかつナイスメロで最高。特にソフトロックファンにオススメ。[brasil]

VIBES FROM THE TRIBE VOL.I-II / V.A.

"BLACKJAZZ" "STRATA-EAST"と並ぶブラックジャズレーベル"TRIBE"の音源を集めたコンピ。TRIBEの音源はこれ以外未聴のため確かなことは言えないが、前二者に比べてよりソウルフルな印象を持った。ブラックジャズにありがちなフリーすれすれの演奏も少なく聴き…

SWEETEST PIECES OF THE PIE / Bobby Thurston (’78)

あのモデュレイションズのメンバーが制作。ワシントンD.C.での制作だが音は完全にフィリー。スウィートでダンサブル。まさに名盤というにふさわしい素晴らしすぎる内容。巨大ヒキガエルのような容姿(失礼)と甘い音とのギャップが彼の個性を一層強烈にして…

IT’S JUST BEGUN / The Jimmy Castor Bunch (’72)

原始人ヘヴィファンク。バカバカしいシャウトと語りがたまらない。脳みそ空っぽにして聴くと実に気持ちがいい。というより、強制的に空っぽにさせられる。音楽的には、ラテンとジミヘンからの影響が強く、強烈なファズギターが随所で登場する。しかし決して…

S.T. / Carl Carlton (’81)

ダンス・クラシック"She's A Bad Mama Jama"が収録されていることでも有名なアルバム。もちろんこの曲も最高だが、根底にあるポップ感覚はどの曲でも不変。日本盤のライナーによれば当時のヒットのいいとこ取り(パクリ)をしているとのことだが、当時を知ら…

MUSICAL MASSAGE / Leon Ware (’76)

ソロ名義では2枚目のアルバム。ジャケを見ればわかるように本盤は非常に官能的である。しかし、なぜかスピリチュアルでもある。明らかに相反する「性」と「聖」が、ごちゃ混ぜに聴こえてくるのだ。作者の意向はもちろん「性」なのだろうが、マーヴィン・ゲイ…

S.T. / Manhattans (’76)

最大のヒットとなった代表作。問答無用の必携盤。このグループの出身はニュージャージー(レーベルはNY)だが、本作を含めてボビー・マーティンが深く関わっており当然フィリーな音。ちなみに、このグループ名は地名ではなく、最高級のカクテルの名前だそう…

CAN’T GET ENOUGH / Barry White (’74)

この人のメロディは素晴らしくセンスがいい。そしてお馴染みのセクシーなバリトン。ラブ・アンリミテッドのコーラスとジーン・ペイジのストリングスによって、これらの良さが何倍にもなる。また、本盤からは本当に「愛」が溢れ出てくるように感じる。都合の…

アフロビートの屋台骨、アフリカ70のドラマー、トニーのソロ。これ以前にも何枚かソロ作を残してはいるが、個性という点で、フェラ・クティの別名義作品といっても過言ではない内容だった。しかし本作。完全にフェラを消化しきった内容。言うなればダブ+ア…

S.T. / Larry Young’s Fuel (’75)

フュージョンはダサい。これは現代の定説といってもいい。ではフュージョンとジャズファンクの境界線はどこにあるのか。個人的にはキメの頻度とロック的要素の多少によると思っている。その点で本盤は紛れもなくフュージョンだ。しかし、有り余るファンクネ…

FUNKY ENTERTAINMENT / Brainstorm (’79)

超ハイテンションなディスコ・ファンク。ポリリズミックで次から次へと音が襲ってくるようなアレンジが非常におもしろい。とにかくアッパーで元気がでる。ちなみに僕の場合、本盤を聴くと興奮して凶暴化します。ユンケルなんかよりよっぽど効くアルバムだ。…

ORGANTRANSPLANT / Billy Preston (’7?)

店で見つけてはじめて存在を知ったのだが、スライ・ストーンがアレンジを担当したビリー・プレストンのアルバム、なんて売り文句を見過ごせるわけが無い。しかし、いざ聴いてみるとスライの影はほとんど見つけることが出来なかった。なんとなくマユツバ・・…

LOVE SONG / Gary Bartz (’78)

タイトル通りソフトである。かといって彼らしくないか、と言えばそうでもない。特徴的なメロディのクセも随所で登場し、相変わらずスピリチュアルだ。マーヴィン・ゲイとエディ・ホールマンのカバーを収録していることからも本盤の方向性がわかるだろう。 ビ…

MUSIC IS MY SANCTUARY / Gary Bartz (’75)

ゲイリー・バーツ、ひいてはミゼル兄弟の最高傑作と名高い本作。待ちに待った再発だ。個人的にサウンドおよびアレンジ、曲自体から影響を受けまくっている。今のR&Bやクラブジャズとしても通用するくらい全体を通して古さが全くない。ジャズファンク・ミーツ…

COSMIC VORTEX / Weldon Irvine (’74)

この人、ジャズ畑の割には意外に明るい曲が多く、本作でもポップでアーシーなジャズファンクを聴くことができる。しかし、ゴスペルやブルースのルーツも垣間見え、安易にフリーソウルの文脈で語られることを拒否しているようにも思える。パーカッシブな"Love…

IN CONTROL / The Controllers (’77)

マラコ発、フレデリック・ナイト制作。'70sヴォーカルグループの隠れた名盤。リードが何とも魅力的。似非フィリーとでもいうべきダンサー、コテコテのバラード、なぜかすっきり聴けるファンク。どこかB級感が漂うのはオリジナリティの欠如からか?内容が素晴…

I’VE BEEN LONELY FOR SO LONG / Frederick Knight (’73)

STAXといえば南部の汗臭いイメージが付きまとうが、70年代に関しては、独特のアクに洗練が加わったポップな作品が多い。本作もその一つ。STAXのカーティス(と僕が勝手に呼んでいる)だけあって、自作自演の曲をファルセットで繊細に歌う。レゲエにも通じる…

DIDI / Fernando Gelbard (’75)

アルゼンチンのジャズ・ピアニスト。作者の意向はともかく、僕は本作に宇宙を感じる。といっても派手な飛び道具はなく、ラテンパーカッションやエレピそしてムーグによる、むしろ控えめな音色とその配置が独特の浮遊感を醸し出しているのだ。音響的、と言い…

HONEY / Ohio Players (’75)

言わずと知れた名作中の名作。ファンクとスウィートソウルの邂逅。ヌメヌメと黒光りした音。黒人音楽慣れしてない人にはレッチリもカバーした"Love Roller Corster" あたりが聴きやすいだろう。しかし、本アルバムの真価は、やはりスローにこそある。一度は…

S.T. / The Stylistics (’71)

スウィート・ソウルの代名詞的アルバム。胸焼けするくらい甘い。しかし甘いだけではない。唐辛子が辛いだけじゃないように砂糖にだって旨みがある。例えるなら女体に塗りたくったレアチーズケーキの如く、甘味の中に酸味とエロさを内包しているのだ。反芻す…