Donuts / J Dilla (’05)

JayDeeの遺作。紛れも無いソウル・ミュージック。最期の場としてStonesThrowを選んだ必然性を感じる。しかし、スキットだけで構成されたような目まぐるしい展開、ソウルネタのチョップを多用した構築法、粗く、乾いた音像など奇しくも僕の3rdアルバムとの類…

The Find / Ohmega Watts (’05)

BPMは一つのジャンルや時代のアイデンティティを担う重要な要素である。HIPHOPにおいては(大雑把だが)黎明期から現在に近づくにつれ、テンポがスローダウンしているという事実がある。つまり、今っぽさを表現したいならBPMを落とすべき、ということだ。た…

Heavy Heavy Heavy / Geraldo Pino & The Heartbeats

JBよりファンクの洗礼を受け、そしてフェラ・クティにも少なからず影響を与えたというジェラルド・ピノ。60〜70年代のアフリカという地でフェラ・クティに先んじて、これだけのクオリティのアフロファンクを推し進めたことは、もっともっと評価されて然るべき…

My Favourite Letters / Alice Russell (’05)

Bah Samba、Quantic Soul Orchestraのヴォーカリストによるソロ2作目。これはもうジャケの素晴らしさを含めて名盤。多彩な音楽性を秘めたクラブミュージックらしいクラブミュージックだ。シンセのアレンジをはじめ、なかなか個性的なトラック。とはいえR&B的…

Major Malfunction / Keith LeBlanc ('86)

サウンドは86年という時代そのもの。こう書くと悪印象を持つ人もいるかもしれない。しかし、ここまでクールかつ刺激的な音楽は、この音でなければ成し得ない。オールドスクールなブレイクダンス的ビートとインダストリアルで凶暴なサウンド、そして構築美。…

Hey Hey My My Yo Yo / JUNIOR SENIOR (’05)

POPとは大衆性という意味とその語感からも想像できるように「弾ける」という意味合いもある。デンマーク出身の彼らの作り出す音はまさに弾けまくっている。恥ずかしいほどポップなのだが、決してダサい方向には転ばない。これはビート構築のセンスと確かなブ…

Help Us Spread the Message / Mighty Ryeders (’78)

誰某がサンプリングしたとか、そんな理由で再発される盤は概してB級品が多い。そうこうしているうちにリイシューは追わなくなっていくのだが、たまにこういう名盤も紛れているからタチが悪い。ヘタな歌をフィーチュアしたジャズファンクとでも言おうか。適度…

Re-Creation of the Gods / Rufus Harley (’72)

バグパイプでジャズファンクという、とんでもない一枚。キワモノとあなどるなかれ。ベースのハモンド・ソウルジャズにバグパイプが重なると、どうしようもなく胸をかきむしりたくなるような、焦りにも似た感情に襲われる。アレンジとしては明らかにミスマッ…

Relating a Message to You / CANE AND ABLE (’72)

フランス発のレアファンク。アフロファンクと言われることもあるようだが、アフロ色はほとんど見られない。"Shaft"を思わせるブラックムービー的な曲や明らかにジミヘンの影響下にあるサイケなブラックロックから、ソウルフルなミディアムまでソツなくこなす…

S.T. / Kurtis Blow (’80)

ファンクではあるが、HIPHOPといえるかは微妙。ただ、ラップミュージックの元祖であることは周知のとおり。現代のラップに慣れた耳で聴くと少し気恥ずかしい感じもあるが、70sファンクが好きならこれは聴いておいて損はないだろう。生演奏をバックにしている…

Soundtrack for Sunrise / GB (’04)

ジャケだけ見ると女性シンガーの作品と勘違いしそうだが、全く違う。前衛的で浮遊感のあるリコンストラクトミュージック。これだけのギミックが嫌味じゃないのは、引き所を心得ているからという他ない。ギミックがギミックとして成立しないほど曲に溶け込ん…

Ghetto-Bourgeois / Ginger Jackson (’04)

現時点では、ほとんど無名のシンガー。70年代趣味丸出しの音やキュートな唱法からしてエリカ・バドゥからの影響を強く感じる。ただ、それはそれとして非常に良盤。現在のR&Bシーンに即した音ではないものの、70sソウル好き、メロウ好きならば必ず気に入るは…

jb

最後のソロ作。81年という時代にもかかわらず、聞こえてくるのは紛れもなくジョニー・ブリストルの音。良くも悪くも80s前半らしいきらびやかなサウンドだが、素晴らしいのは時代の音に合わせるのではなく、自分の音楽の一要素として時代の音を取り込んでいる…

Royal Rappin’ / Millie Jackson & Isaac Hayes (’79)

ジャケのキモさは随一。裏ジャケは更に気持ち悪い。これは是非アナログで所有したい。この二人のデュオなんて、考えただけで胸焼けしそうだが、意外に素直に聴ける。アイザック・ヘイズのポップセンスには定評があるし、ミリー・ジャクソン自身オーバープロ…

Amplified / Q-Tip (’99)

Jay Dee、そしてUmmerの音が好きだ。機械的なのに生温い温度感とスカスカの音像。音選びのセンスもすごい。声質とリズム感だけで世界を作れる稀有な存在であるQ-Tipが、このトラックでライミングをすれば当然スゴイことになるわけだ。ただトライブ時代の音を…

Complex Simplicity / Teedra Moses (’04)

粒立ちのよい、よく通る声質とメロウな美メロの相性は抜群。否応なしに心に残る。リズムにはHIPHOP的要素が多分にあり、ところどころ顔を覗かせるトリッキーなサウンドメイクも浮き足立っていない。ただのスムーズソウルでは終わらない高品質なアルバムだ。…

Theme for a Broken Soul / DJ Rels (’04)

音楽作品には2種類あって、練って練って緻密に作りこんだものと、勢いでパパっと作るものがある。これは間違いなく後者だ。制作時間は1ヶ月とかかっていないはずだ。天才と言われる人間は得てして多作だが、DJ RelsことMadlibも例外ではないだろう。ひらめき…

Sounds Like Everything / Ammon Contact (’03)

作曲技法にも様々あるが、この人達の場合は作曲と言うより構築、建築に近い。テクスチュアと言ってもいい。要はテクノと同様のアプローチをとっているのだ。そして、スカスカでぬるい音像と淡々と進む構成にアフロセントリックな意匠を感じ取ることができる…

II / Laurnea (’00)

抑制の効いたメロウでクールなトラック。ネオソウル的といってしまえばそれまでだが、独特の柔らかさがあり人肌程度の温度感が心地よい。ハッとするような歌声でダウナーなサウンドにメリハリをつけている。夫で元アレステッド・ディベロップメントのDJ Kemi…

BAD DONATO / Joao Donato (’70)

ブラジリアン・ファンク。デオダートのアレンジが冴えるガツガツの攻撃的疾走サウンド。面白いのは、クールに徹しきれず、どこかホンワカした雰囲気が拭いきれないところ。フリーキーなシンセが鳴ってもぬるく聞こえる。このあたりはドナートならでは。この…

BAIL OUT FOR FUN ! / Maxayn (’74)

アフロどアップ系ジャケの中では五指に入るインパクト。内容はモロにスライから影響を受けたであろうチャカポコしたファンク。亜流といえどもクオリティは高い。荒々しく尋常じゃないグルーヴ。ポップなメロ。巧みなアレンジ。これは隠れた名盤と言ってもい…

ILLMATIC / Nas (’94)

例によって購入当時はピンとこなかった盤。ただ、何かひっかかるものがあり、手放す気にはなれなかった。経験上、そういう盤は間違いなく名盤。そのときの耳が追いついていないだけなのだ。数年後に聴き返せば、ほら案の定。キャッチーではないが、実に深い…

VOODOO / D’Angelo (’00)

名盤であることは断言する。ただ、万人に薦められるものでもない。メロディやコードは充分ポップで美しいのに、なぜここまで黒く重いのか。その原因の一つとして、ヴォーカルライン構成のルーズさがある。巷のヒット曲のように、即座に覚えて一緒に歌えるよ…

CHOSEN FEW IN MIAMI / Chosen Few (’75)

レゲエとソウルはほぼ血縁関係にあるとはいえ、ここまでソウルに接近したレゲエグループは稀だ。ほとんどノンレゲエの典型的な70sソウルマナー、スウィートなコーラス。サウンドにはレゲエの色も程よく残る。バックはKC&サンシャインバンドだが、実に絶妙。…

PEACE WITH EVERY STEP / Build an Ark (’04)

ポピュラー音楽は時代とともに歩んでいる。ある程度確立してしまったジャンルはその時代独特のものとなる。時代性という観点からすれば、その先にあるのは懐古と資料価値のみ。本盤のディテールは確かにスピリチュアル・ジャズのそれである。しかし、70年代…

PRESS ON / David T.Walker (’73)

デビッドTが10年ぶりに新作を制作するとのこと。期待せずにいられない。本盤は今まで彼が発表したソロの中でも一、ニを争う出来。カバー中心で独特のメロウでスモーキーな雰囲気に包まれている。この雰囲気は唯一無二と言ってしまっていいのではないか。そし…

WHY CAN’T WE LIVE TOGETHER / Timmy Thomas (’74)

これはソウルであり、前衛であり、ファンクでもある。オルガンとリズムボックスのみという構成から前衛であることに異論はないだろう。問題はファンクか否か。確かに一般的なファンクのフォーマットからは大きく外れている。しかし、自分にとってのファンク…

S.T. / Victor Davies (’01)

ロンドン出身らしい洗練されたクロスオーヴァー・ミュージック。ブラジル音楽のサウダーヂ感とソウルのメロウネスを見事にモノにしている。言うなればジョン・ルシアン+マクスウェル。ブラジリアン・メロウグルーヴが好きなら、これは聴かねばならない。[me…

PEACEFUL / Al Johnson (’78)

レコ屋の壁の花だった超名盤がようやくリイシュー。テリー・ハフとの関係は今更ここで書くまでもないだろう。ワシントンD.C.らしい行き過ぎないスウィートネス。なぜかニューオリンズ絡みの制作陣が気になるが、音にはあまり影響がないようだ。バーナード・…

S.T. / CoCo d’Or (’04)

驚いた。hiroである。元SPEEDの。意外なことにかなり良い。全編英詞のジャズカバーアルバムということもすんなり聞けた理由ではあるが、客観的に見て質が高いのだ。歌そのものは表現力の点で不満が残る。しかし、そのキュートな声質は驚くほど新鮮。日本のク…